最終更新日:2021.4.2
執筆者:夫婦問題・離婚カウンセラー
及び 女性相談員 泉谷 美奈子

夫や妻の不倫が発覚!許せないけど、離婚するつもりはない、、、
浮気の慰謝料を不倫相手にだけ請求したい!
このように考える方は意外と多いものです。
ここからは、浮気相手だけに慰謝料請求する手順と、より確実に高額な慰謝料を獲得する方法を解説していきます。
「目次」

妻や夫の不倫が発覚したとしても、離婚せずに夫婦関係を修復する場合、浮気相手だけに慰謝料請求する、ということはよくあることです。
しかし、ここで気をつけなければならないのが「共同不法行為」
※共同不法行為とは、 |
不倫したあなたの夫や妻と浮気相手は、共同不法行為者となります。
例えば、100万円を慰謝料として、全額不倫相手だけに請求したとします。
しかし、浮気相手から「あなたの妻や夫も一緒に不倫していたのだから半分の50万円分はそちらで払ってください。」と反撃してくるかもしれません。
これを求償(きゅうしょう)といい、不倫の場合にも求償権は発生するので、浮気相手の言い分も正しいということになります。
※「求償権」=浮気の当事者2人の一方が自身の責任部分を超えて慰謝料を支払った場合に、もう一方の共同不法行為者に自分の責任を超過する分を請求できる権利 |
不倫相手だけに慰謝料請求をする場合には、この求償に注意して慰謝料請求する金額を決めていく必要があります。
そして、浮気相手には求償権を放棄してもらうよう、示談書などの書面に残しておくと良いでしょう。
【参考サイト】
弁護士ドットコム|不倫慰謝料、求償権について

ここでお伝えする「慰謝料を不倫相手には請求できないケース」は、訴訟などに発展してしまった場合に、裁判所から認められない、という意味です。
示談などの交渉で、お互いが了承すれば慰謝料を請求することは可能です。
【参考サイト】
配偶者の不貞相手に、慰謝料を請求することができますか?|法テラス
不倫の慰謝料請求の法的根拠は、夫婦間に認められる貞操義務(配偶者以外の人間と性交渉を行わない義務)に違反していることにあります。
ですので、不倫をしていても、夫婦関係がすでに破綻していた場合には、法的には、浮気相手への慰謝料請求が認められることは、ほとんどありません。
別居中、家庭内別居などが、これに当たります。
【参考情報】
別居してたら浮気や不倫は不貞行為にならない?
慰謝料が請求できないってホントなの?
あなたの夫や妻が「自分は結婚はしていない」など、浮気相手にウソを付いて交際していた、というケース。
あるいは「夫婦関係はすでに破綻している」と不倫相手を騙していた場合も同様で、不倫相手が夫婦の状態をどのように認識していたかが問題になります。
この場合、浮気相手に慰謝料を請求しても、請求が認められないか、認められたとしても大幅に減額されてしまいます。

浮気の慰謝料請求には時効があり、
①不倫が始まった日から20年(除斥期間)
②不倫の事実と浮気相手を知った時から3年(消滅時効)
このいずれかのうち短い方が時効となります。
不倫相手の顔は知っていても、名前や住所がわからないなどの場合には慰謝料請求が不可能なので、時効期間のカウント開始となりません。
時効を迎えるまでは、
・不倫相手との関係が終わっていたとしても、
・離婚した後であっても、浮気相手に慰謝料を請求する事ができます。
しかし、時効期間内であっても、不倫関係が解消して時間が経ってしまうと、事実確認や証拠集めがあいまいになってしまいます。
浮気相手に慰謝料を請求したい場合には、できることから早目に行動しておきましょう。
・全く家庭を顧みず、好き勝手に行動していた
・理由もなく、夫婦間の夜の営みを拒んでいた
あなた側にも落ち度がある場合、浮気相手が反論してくることもあります。
この場合も、浮気相手に慰謝料を請求しても、請求が認められないか、認められたとしても大幅に減額されてしまいます。

そもそも肉体関係がない、あるいは不倫していたという証拠がなければ、浮気相手に慰謝料請求自体ができません。
・デートしていた
・食事に行っていた
・ラブラブなLineトーク
・キスしている写真を持っている
このような証拠だけでは、肉体関係があったことにはならないので、浮気相手も応じないことが考えられ、慰謝料を支払わせるのは難しいでしょう。
もちろん不倫相手と直接交渉して、支払いに応じるのであれば、慰謝料をとることが可能です。
しかし、拒否されてしまえば、LINEや写真の証拠だけでは、浮気相手から慰謝料が支払われない可能性が高くなります。
確実に慰謝料を支払わせたいのであれば、浮気相手が言い逃れできないような証拠を押さえておくことは必須です。
【参考情報】
キス1回でも不貞行為になる?不倫の慰謝料「相場や時効」などを解説
慰謝料請求をするとなれば、やはり金額が一番気になることだと思います。
ここからは、不倫相手への慰謝料請求の相場と金額について解説します。
浮気相手への慰謝料の相場は、数十万~300万円の範囲内となります。

不倫が原因で離婚してしまった場合の相場:200~300万円
不倫が原因で別居してしまった場合の相場:100万円〜200万円
離婚しない場合の相場:50~100万円
浮気相手だけに、慰謝料請求をするという場合、離婚しないケースがほとんどですが、離婚に至らない場合の相場は50~100万円と少し低くなります。
また、浮気相手だけに慰謝料を請求する場合には、いろいろな条件で金額が増減します。
不倫の期間、頻度
婚姻期間の長さ
不倫前の夫婦関係
不倫によって夫婦関係が悪化した程度
離婚に至ったか
子供の有無と子供への影響
浮気相手の反省の度合い
浮気相手の社会的地位や年齢差
支払能力
どちらが不倫を主導していたか
精神的苦痛の程度
こちらの落ち度の度合い

裁判で決定される金額は、不倫による慰謝料の相場を基準として、さまざまな点を考慮した上で決定されます。
もちろん、示談交渉であれば、お互いが納得する金額や、浮気相手の支払い能力などによって、柔軟に決定することが可能です。
ここまで、不倫相手だけに慰謝料請求ができる、どのような場合に請求が認められるか、相場などの基礎情報を解説してきました。
ここからは、実際に浮気相手にだけ慰謝料請求をする方法をお伝えしていきます。
不倫の慰謝料請求は、
示談・直接交渉
内容証明郵便
慰謝料請求訴訟(裁判)
この3つの方法で行われます。
それぞれのメリット・デメリットもあわせてみていきましょう。

一番手っ取り早い方法が、相手との直接交渉です。
しかし、お互いに感情的になり、話し合いがスムーズに進まない、上手く話がまとまらない、ということもあります。
何か正式な手続きが必要なわけでもなく、短期間で解決できるということでしょう。
また、話し合いで浮気相手が、不倫の事実を認めさえすれば、決定的な証拠がなくても慰謝料を支払わせることも可能です。
その他に、直接の交渉であれば、慰謝料請求の他に、浮気相手との示談条件を柔軟に決定することができます。
例えば、
・今後一切、接触しないこと
・求償権を放棄すること
・示談条件を口外しないこと
・支払いが滞った場合は全額一括返金か差し押さえすること
・示談条件に違反した場合は違約金を支払うこと
・今後、迷惑行為をしないこと
解決後は、これらのこともあわせて示談書に残しておきましょう。
不倫した、されたなど、感情的になり、冷静になれない、上手く交渉することができない、ということも十分考えられます。
また、慰謝料請求に応じるかどうかは、浮気相手次第なので、相手が拒否するようであれば、話し合いだけで解決できません。
浮気相手が素直に不倫を認めるとは限りません。
そのような場合には、浮気相手が言い逃れできないような証拠だけは確保しておかなければなりません。
不倫相手との直接交渉の一番のデメリットは、あなたに大きな精神的苦痛が伴うことでしょう。
【参考情報】
不倫相手が気になる!夫や妻の浮気相手はどんな人?

浮気相手と直接会いたくない(会えない)場合や、話し合いに応じないような場合には、内容証明郵便を送って慰謝料請求をします。
内容証明郵便は、送った内容や日時を郵便局が証明してくれるサービスです。
これによって、浮気相手がしらばっくれても「いつ、誰に、慰謝料請求をしています」と証明することができます。
・会いたくもない不倫相手に会わずに慰謝料の交渉ができる
・こちらの主張を書面で残して伝えることができる
・浮気相手にプレッシャーを与えることができる
・「いつ、誰に、慰謝料請求をしています」ということを郵便局が証明してくれる
内容証明郵便には、法的な強制力がないため、浮気相手が応じない、無視する、ということも十分にありえます。
対策としては「慰謝料請求に応じない場合は法的措置(裁判)に移る」という内容も書面に書いておくなどのプレッシャーを与えておきましょう。
弁護士名義で内容証明を書いてもらうなどの方法を取ると、浮気相手が素直に応じてくれる可能性が高くなります。
【参考サイト】
弁護士ドットコム|離婚せずに自分で不倫相手に慰謝料請求するには?

話し合い、直接交渉や内容証明郵便では解決できない場合、最終手段で裁判で慰謝料請求をする方法があります。
浮気相手が応じるかどうかは関係なく、裁判官が判断を下し、判決で決定した内容には法的な強制力があります。
裁判での決定には法的な強制力があるので、浮気相手は判決で決定された慰謝料の支払いから逃れることがでなくなります。
また、裁判で支払いが決められたにもかかわらず、慰謝料を支払わない、踏み倒そうとしている場合には、給与を差し押さえることができます。
その場合、裁判所から浮気相手の会社に差押えの命令が行き、支払われるはずの給与からあなたへの慰謝料が差し引かれる、という法的手段がとられます。
・慰謝料請求訴訟となると、時間もコストもかかります。
また、自分1人だけで法手続きを進めていくのは、かなり難易度が高いので、弁護士への相談や依頼が必要になることがほとんどです。
・裁判で決まった内容には法的な強制力がありますが、反対に、こちら側の主張が認められないという可能性も出てきます。
不倫の証拠をしっかりと準備して、裁判官に事実を伝えることも大事になります。
必要に応じて探偵に依頼し、裁判でも使える証拠をあらかじめ確保しておくことが望ましいといえるでしょう。

あなたの妻や夫の浮気相手が既婚者であった場合(ダブル不倫)の、不貞行為の慰謝料請求については、ケースバイケースになりますが、早期解決するか、泥沼化するかのいずれかになります。
もし、あなたが、ダブル不倫していた相手から、慰謝料をどうしても取りたいと思うのでしたら、浮気相手の配偶者には、ダブル不倫の事実を伝えるべきではないでしょう。
もし、浮気相手が自分の配偶者にバレたくない場合は、大ごとにならないよう素直に慰謝料の支払いに応じる可能性が高くなります。
最後に、慰謝料を浮気相手にだけ請求する際の注意点をまとめていきます。
慰謝料請求で必要不可欠なのは、しっかりとした証拠を確保してから話し合うことです。
充分な証拠もないままに問い詰めても、相手に言い逃れされてしまうことになります。
それどころか、浮気相手が警戒すれば、今後しっかりとした証拠が確保できなくなる可能性もあります。
言い逃れできない証拠を持って、どのような理由でこの慰謝料が適切なのかを、不倫相手に伝えましょう。
【参考情報】
浮気の証拠をつかむ!R&Iの撮影技術と調査力(動画あり)
ここまでできる!探偵×浮気調査|方法と内容&マル秘テクニック

浮気相手だけへの慰謝料請求も十分に可能です。
ただし、不倫をした責任は、あなたの妻や夫にもありますので、あまりにも相場からかけ離れた慰謝料を、浮気相手だけに押し付けようとし過ぎると求償される可能性も出てきてしまうことも覚えておきましょう。
また、相手側の弁護士から、不倫相手が求償権を放棄する代わりに慰謝料を減額するといった交渉を持ちかけられるケースもあります。
もちろんこれを拒否することも可能です。
感情的になってしまう気持ちもよくわかります。
しかし、浮気相手との話し合いは冷静に行いましょう。
相手は、平気で他人の家庭を崩壊させようとしたり、不倫をするような常識のない人なので、逆恨みされ、あなたが復讐の標的になってしまう可能性があります。
冷静な話し合いが難しいようでしたら、第三者に同席してもらってもよいでしょう。
浮気相手と話し合いで決めた内容は、必ず示談書を作成するなど、書面化しておきましょう。
可能であれば公正証書にするなど証拠として残しておくと良いでしょう。
双方の認識の違い「言った、言わない」などで、今後トラブルに発展するのを防ぐことができます。
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